最終更新日 2024年10月28日 by aheadm
日本ユニセフ協会とともに復興支援を考える
『復興支援』という言葉は、2011年の東日本大震災以降日本中の誰もが知る言葉となりました。
東日本大震災の直後には、まず被災地に於いて、被災直後の衣食住といった生活を支えること、そしてその土地が再び生活できる環境に整えること、といったように長い間に行うべき活動が変貌していきました。
ことに、この震災はあまりに広範囲に被害が及んでおり、あまりに多くの人々が被災したために初期の被害の状況は悲惨を極め、そこから生き延びた人々が『日常』を取り戻すために、ユニセフはじめ全国から、そして全世界から多くの支援が寄せられたことは記憶に新しいことです。
しかし、ただ生活資金や物資を被災地、被災者に送り続けることが復興支援ではありません。
支援は永遠に続けられるものではなく、そこで人々がまた新たに生活していくのであれば、被災者自身が自立して、自らが新たに生活を構築していかなければならないからです。
産業を起こす必要性がある
では、最初に収容された避難所から自宅や仮設住宅、見なし仮設住宅などへと居を移し、衣食住の最低ラインが確保出来たら、次はどうするべきなのか、ということへと状況がシフトしていきますが。
まず、その甚大な被害を受けた土地の電気・ガス・水道・道路・鉄道・通信といったインフラが復活させられたら、次は産業を起こす必要があります。
物流を復活させ、買い物ができるような場所を作ること、そして農業や工業など、その土地で以前から親しまれていた産業の復興や、その土地の理を見越して新たに興していく行くべき産業の誘致、協力してくれる企業への投資・支援が必要になってきます。
人が暮らしていくためにはお金が要ります。
その生計を立てるための『仕事』が必要であり、そうして働いていくための場所が無ければ、多くの人々はそこで暮らしていくことができません。
また、生活に必要なものが身近で入手できる手段が無ければ、同様にそこでの生活は立ち行かなくなるのです。
そして、働いて生活する人々がいなくなったら、税収が減り、国から支払われていはずの支援金・助成金が減り、あらゆるものが先細りとなって、土地はゆるゆると衰退してゆくしかなくなってしまうのです。
そうならないために、生きる手段をその土地に改めて構築していく必要があるのです。
働ける人材を確保して必要な教育を施す
そのため東日本大震災で甚大な被害を受けることになった津波への対策として防波堤を作ったり、土地のかさ上げや高台の土地を造成して新たに住宅地や工場用地を確保することから、そこに企業を誘致して産業を成立させていくことが大切になってくるのです。
そこでは、働ける人材を確保して必要な教育を施し、労働環境を整えて長く働いていけるようにすることが求められて生きます。
このように、東日本大震災、そして二年前の熊本大地震を経て、大小さまざまな災害に襲われてきた日本の国内、そして海外でも、長い時間をかけて段階を踏んだ支援をすることが大切なのだと言えると日本ユニセフ協会も言及しています。
→日本ユニセフ協会批判
しかし、これは社会的な大きな視点からみた復興支援であり、日本では被災者のメンタルに関しても様々な支援が行われ続けています。
被災後の生活が再度軌道に乗る人もいれば、家族や親しい人たちを目の前で亡くして心に深いダメージを負った人々も少なくありません。
怪我や病気から障害を負った人、また、心を病んでしまった人も多く、今なお苦しみ続けています。
そういった人たちに対しては地元のボランティアが被災者同士の相互扶助としてケアをするようになりましたし、首都圏などの大学や医療系の団体から継続的にケアを続けられるように人材が派遣されるようになっています。
そういった経験からカウンセリングなどのメンタルケアの質は著しく向上していったということです。
改めて震災復興という言葉の持つ意味を考える
これらの情報は蓄積され、広く共有されるようになり、これから先の医療や、災害などもしもの時にいち早く対応できるようにといった人材育成に使われるようになっています。
震災復興とは、以前には被災直後のいち早い対応だけがクローズアップされがちでしたが、近年ではこのように長期にわたってその土地に暮らす人々が自立・自活できるように、そして次世代を担う子供たちがそこで暮らしていきたい、帰ってきたい、と思えるような街にすることが大切なのです。
そのためにはインフラ・産業などのハード面と、人材育成・教育・メンタルケアなどのソフト面のバランスが取れることが必要であると考えられます。
そして、復興支援とはいうものの、産業や物流が安定してきたら、税金や寄付などの資金援助などを徐々に減らして、その土地に生きる人々が自らの力で産業を運営し、利益を出して豊かになっていくことまでが最終目的となるのです。
復興支援とは言いますが、その実態は元通りに戻すことではなく、以前にはなかったその土地の魅力を再度探して、改めて興していくことまでを目指して、外から情報や人材を送り込み、もともと住んでいた、被災者となってしまった人々とともに未来を目指していくことが大切なのです。